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「失われた場を探して」について

 投稿者:soba95  投稿日:2009年 8月28日(金)19時03分37秒
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  メアリー・ブリントン著「失われた場を探して」(NTT出版)を読んだ。バブル崩壊後の長期不況のなかで、それまであった「高校という場から会社という場への(高校の進路指導部を軸とした)スムーズな場の移行」が崩れ、多くの若者(特に非進学系普通高校)が困難に直面していることが述べられている。60年代〜80年代の日本のこの在り方がむしろ特殊であったこと、「今時の若者はちゃんと仕事もしないで」という非難は、スムーズな場の移行が崩れたいま的はずれであること、今の事態はサービス産業化などの社会の変化によるものだから景気が回復しても元の状態に戻ることは難しいこと、サービス産業化は場の移行を支えたシステムを壊しただけでなく、高校生をバイトに引き込んで、高校の場としての意義を一層薄れさせたこと、などの主張に膝を打った。著者は社会学者の分を守ってか、「とにかくどこかの場に帰属することが第一で能力はそれから」という伝統的な日本型社会が崩れて「職能を身につけそれに応じた地位に」という米国型社会へ移行するのを自然現象自然法則であるかのごとく書いているが、80年代以降の米国(あるいは米国的価値観を身につけたエコノミストたち)による意図的な働きかけがなかったのか。あるいは、大きな趨勢としては仕方がないとしても、「場への帰属が第一」という在り方を捨て米国的な社会の在り方をどこまで受け入れるのが日本にとってよいことなのか。こんなことは、米国人の著者に聞くことではなく、日本人が考えることではあるのだが。折しも総選挙。いくら配るという話は出ても、社会の現状と将来にかんする説得力のある議論は聞こえてこない。
ところで、tommyさんの「鉄の文明」、すばらしい文章ですね。詩と科学が化学反応を起こした一瞬に現れた美しさ、とでもいいましょうか。地理歴史や科学についての素養がtommyさんの頭のなかで常人には考えられないような反応を起こしているようですね(ただし、それがこんなに美しい反応となって現れるのは、失礼ながら滅多にないことですよ)。
 
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